大から小まで

 木魚のサイズは、だいたい尺貫法の一寸刻みで決められています。家庭の仏間でよく使われるサイズは、五寸、五寸五分、六寸のあたりでしょう。この寸法は、たぶん差し金などで測りやすいよう、便宜的に決められたものだと思います。そしてその長さも、工業製品と違って、必ずしも正確なものではありません。
 木魚は、木取りの時点で、最終の製品の段階で寸足らずにならないよう、「ノビ」と呼ばれる余分の寸法を付けてあります。製造段階で、削ったり擦ったりして、少しずつ小さくなりますが、「ノビ」の範囲を超えることはまずありません。
 そういうわけで、どの木魚も、その寸法より、わずかに大きめになっているのです。

 同様に、「最大」「最小」についても、特にはっきりした決まり事はありません。
 もし、巨大な楠が手に入れば、私共はその木から取れる最大の木魚を作ろうとします。これはもちろん、大きければ大きいほど、製品としての木魚に希少価値が生まれるということもありますが、と同時に、長い年月を生き長らえた巨木に対する、木魚職人としての礼儀でもあると思うのです。
 材料の特性を最大限生かした木魚作りをすることこそ、私共職人の醍醐味であり、また楠という自然の恩恵を被っていることに対する罪滅ぼしでもあるのです。

 ここでは、主な寸法の木魚を幾種類か並べて、そのサイズの違いを実感していただこうと思います。(大きさの目安にしていただくため、フィルムのパトローネを一緒に撮してあります)

寸法 実寸・横幅(p) 写真見本
三寸五分 約11p
四寸五分 約14p
六寸 約19p
八寸 約26p
尺五寸 約48p
尺七寸 約54p

二尺

約64p

 今までに、当製造所で作った最大の木魚は、二尺六寸のものです。もちろん、材料さえあれば、もっと大きなものを作ることは可能です。


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