職人の素顔

 職人というと、「職人気質」という言葉が昔からあるように、頑固で頭が固くて、自分がこうと思ったら梃子でも動かないという、気むずかしいイメージがあります。私共にも、ひょっとしたら、そういう傾向があるかもしれません。そういう職人気質は、最終的には自分の腕しか頼るものが無いという、職人としての宿命からくるのでしょう。
 ここでは、そんな木魚職人の横顔をご紹介し、その人となりを少しでも知っていただけたらと思います。

 

 

 

 

 

加藤松男 (初) 明治40年、貧乏な人力車夫の長男として生まれる。幼くして父を亡くし、尋常小学校卒業後、木魚職人の親方の元へ、丁稚奉公に入る。その後、引っ越した親方の家を買い取って独立し、一家をなす。平成8年9月に、満89歳で亡くなるまで、生涯職人を貫く。頑固で気むずかしいという、明治生まれの職人を、まさに地でいく性格の持ち主。

加藤春男(二)      昭和11年、初代・松男の長男として生まれる。この道一筋50年になろうという一徹な職人。仕事に対しては完璧主義で、妥協を許さない。手先の器用さと持ち前のチャレンジ精神で、仕事で使う刃物まで自分で作ってしまう、おそらく木魚職人史上唯一の存在。
加藤寿和 (三) 昭和39年、二代目・春男の長男として生まれる。大学卒業後、5年間東京でサラリーマン生活。その後、家業を継ぐため帰郷。現在修行中。

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